手前からOM-3Ti,OM-4Ti,OM-4,OM-2N,OM-2

OMが開発された当時,各カメラメーカーは似たり寄ったりのカメラを作っていた.しかしOMの生みの親,米谷美久氏は「どこかで売っているなら,それを買ってくればいい.どこにもないカメラを作る」と考えていた.そしてとんでもないカメラシステムを開発した.1972年一眼レフの3悪(大きい,重い,音がうるさい)を追放し,小さく,軽く,静かなOMシリーズが誕生した.
 
これは一台のカメラの誕生ではなく,「宇宙からバクテリアまで」の膨大なシステムの完成を意味していた.OM-1以降のカメラもほとんど大きさは変わらず,システムアクセサリーも共有できる.1972年の誕生時点でいかに完成度の高いシステムであったかが分かる.

OMシステムはカメラ業界にも多大な影響を及ぼした.他社はこぞってOMシリーズのような小型の一眼レフを作るようになったことからもわかる.しかしOMカメラは単に小さいだけではなかった.ファインダー交換,フィルムバック交換も含めたカメラシステムとして考えられていた.しかしそれらは日の目を見ることなく,時代はAF化,デジタル化へと進み,OMシリーズは終焉を迎えた.


手前OM-2N,後方OM-2

OM-2

発売日
1975年
型式
35mmフォーカルプレーンシャッター式一眼レフカメラ(MF)
シャッター
1/1000〜60秒・B(電子式)
測光方式
TTLダイレクト測光(中央重点平均測光)
露出モード
絞り優先AE,マニュアル
ファインダー
視野率97%
バッテリー
SR44・2個
サイズ
136(W)×83(H)×50(D)mm・520g

元々は祖父のカメラであった.よく借りて写真を撮っていたが,祖父も徐々に目が悪くなりピントを合わせることが困難となり譲り受けた.

とにかく小型.初めて使ったのは小学生の時.小学生の手にはやや大きく感じたが,かといって大きすぎて扱いにくいといった記憶はない.

初期OMシリーズのデザインでまず目を引くのがペンタ部分.小さなピラミッド.余分なものを削ぎ落とし結構とんがった形状だ.中にペンタプリズムが入っているが上面に出ている部分は非常に小さい.もともと全高が低いボディにマッチしている.ここにも開発者の米谷氏のマジックが隠されている.プリズム下面を湾曲させ,プリズムにコンデンサーレンズの機能を持たせ,レンズを廃止した.そのためプリズムの位置を低くできた.

ホットシューは付いていない.別売りで取り外し式になっている.実は昔ホットシューを付けたり外したりするのが面倒で,いつもホットシューを付けっぱなしであった.今は外したまま.外した方がシンプルなデザインで気に入っている.

OM一桁シリーズは一貫してシャッタースピードダイヤルがレンズマウント部にある.他社のカメラにはみられない特徴だ.ピントリング,絞りリングと同軸にあり,ボディ上部にあるより操作がしやすい.




OM-2N

発売日
1979年
型式
35mmフォーカルプレーンシャッター式一眼レフカメラ(MF)
シャッター
1/1000〜120秒・B(電子式)
測光方式
TTLダイレクト測光(中央重点平均測光)
露出モード
絞り優先AE,マニュアル
ファインダー
視野率97%
バッテリー
SR44・2個
サイズ
136(W)×83(H)×50(D)mm・520g

次に購入したのはブラックのOM-2Nだ.OM-2と2台体勢となった.当時ブラックボディはプロや上級者が使うイメージがあった.ちょっと見栄っ張り.

OM-2,OM-2Nの最大の特徴はダイレクト測光.フィルムに当たっている光を露出中も測光続ける.正確にはフィルムやシャッター幕からの反射光を測光している.これによりフラッシュ光の制御が簡単になった.とくにマクロ写真でのライティングが素人でも簡単にできる.マクロレンズ,リングフラッシュなども購入し,虫や花を撮りに山野を駈け回った.

外観ではOM-1から一貫してダイヤルやレバーが大きめだ.一見小さなボディに不釣り合いな大きさだが操作性を重視してのことだ.逆にそれがデザイン上も重要なポイントになっている.

巻き戻しクラッチがボディ前面にあるのも特徴的だ.当時のカメラは底面に巻き戻しボタンがあった.これでは三脚に装着した状態ではボタンを押せないケースが出てくる.前面にあるとその心配もない.ここにも米谷氏のセンスが光る.

この頃TAMRON 500mmF8を購入し,超望遠の世界へ足を踏み出した.この頃写真が撮るのが楽しくて楽しくて仕方なかった.一番写真を撮っていたな…




OM-4

発売日
1983年
型式
35mmフォーカルプレーンシャッター式一眼レフカメラ(MF)
シャッター
1/2000〜60秒・B(電子式)
測光方式
TTLダイレクト測光(中央重点平均測光,スポット測光)
露出モード
絞り優先AE,マニュアル
ファインダー
視野率97%
バッテリー
LR44/SR44・2個
サイズ
136(W)×84(H)×50(D)mm・540g


OM-4Ti BLACK

発売日
1989年
型式
35mmフォーカルプレーンシャッター式一眼レフカメラ(MF)
シャッター
1/2000〜60秒・B(電子式)
測光方式
TTLダイレクト測光(中央重点平均測光,スポット測光)
露出モード
絞り優先AE,マニュアル
ファインダー
視野率97%
バッテリー
LR44/SR44・2個
サイズ
136(W)×84(H)×50(D)mm・510g

OM-2シリーズでは中央重点測光で,小さな被写体の鳥やマクロ写真では露出補正は必要だ.対してOM-4にはスポット測光が搭載,さらにマルチスポット測光は夢のような機能だった.しかし使いこなすのは結構難しい.できあがった写真を見ると露出が偏りすぎた写真が増産されていた.

デザイン的にはペンタ部分が大人しくなり,ホットシューも固定式となった.他社の一般的なカメラに近づいた.使いやすいが今見直すとOM-1/2のペンタ部が懐かしい.

ファインダー表示はOM-2Nまではシャッタースピードが表記された透明の表示板と指針で露出状態を示し,暗がりでの撮影では表示が見えにくかったが(ファインダー内照明もなかった),OM-4からは液晶表示となった.夜間での撮影では便利になった.

そのほか上面の操作部のデザインが変わったが,基本的な大きさ等は変化無く,OM-2で使っていたモータードライブなどアクセサリー群もそのまま使えた.システムとしても互換性は保たれている.

1986年OM-4のマイナーチェンジで外装にチタンを採用したOM-4Tiが登場する.さらにその後ブラック外装機が登場.新開発のストロボとの組み合わせでスーパーFP発光モードが利用できる.これは全シャッタースピードでシャッターが開いている間発光するシステムだ.結局このシステムを使うことはなかったが,コレクションの意味もありブラック外装機を購入した.

OM-3Ti

発売日
1994年
型式
35mmフォーカルプレーンシャッター式一眼レフカメラ(MF)
シャッター
1/2000〜60秒・B(機械式)
測光方式
TTL中央重点平均測光,スポット測光
露出モード
マニュアル
ファインダー
視野率97%
バッテリー
LR44/SR44・2個
サイズ
136(W)×84(H)×50(D)mm・510g

OMの一桁シリーズは偶数がAE露出搭載,奇数はマニュアル露出のみ.OM-2に対するOM-1のように,OM-4に対してOM-3が存在する.目玉は完全機械式シャッター.これで電池切れも大丈夫.マニュアル露出ではあるがマルチスポット機能が搭載されている.このOM-3TiはOM-3の復刻版.ユーサーからの声に応じてOLYMPUS創立75周年記念モデルとして発売された.

しかしOMシリーズはAFの波に乗り遅れ,2003年OMシリーズは幕を降ろす.さらに周りを見渡せばすでにデジタルが席巻していた.OM後のOLYMPUSもデジタルに舵を切った.この機種はOM終了の発表を受けコレクションとしてOM-4Ti BLACKとともに購入した.