中学生の時,同級生がA-1を購入した.その頃Canonでは旧F-1,A-1,AE-1などがラインナップされていた.旧F-1は大きく重く,格好悪かった.AE-1はOMシリーズの影響を受けて出てきた小型が売りのカメラで,OMユーザーから見た印象では新鮮味は感じない.

それに対しA-1は未来を感じさせる電気制御のカメラであった.比較的小型で5つのAEモードを搭載していた.ただデザインや赤いファインダー表示は好きになれなかった.しかしこの頃からCanonのカメラを意識するようになった.

その後もしばらくOLYMPUS OMシリーズを使っていたがCanonの超望遠の白レンズが使いたくてCanonに移ることにした.その頃発売になったのがT-90である.

T-90

発売
1986年
型式
SLR(MF,モータードライブ内蔵)
シャッター
1/4000〜30秒・B(電子式)
測光方式
中央重点平均測光,部分測光,スポット測光
露出モード
シャッタースピード優先AE,絞り優先AE,プログラムAE,マニュアル
連続撮影速度
4.5コマ/秒
バッテリー
単3型乾電池・4個
サイズ
153(W)×121(H)×69(D)mm・800g

Tシリーズのフラッグシップ機である.愛称「タンク」.当時のCanon一眼レフのフラッグシップ機といってもいい.しかしTシリーズはFシリーズの下に位置していたため,メーカーとしてはNewF-1の次にランクされていた.

それまでOLYMPUS OMシリーズを使っていたが,Zuikoの超望遠レンズは暗く,その割に高価であった.そこでTAMRONの200〜500mmズームレンズを使って鳥を撮っていた.しかしズームのせいかいまいちシャープさにかける.単焦点で500mmクラスの望遠レンズが欲しくなり,Canonに乗り換えることとした.

最初に購入したのがT-90である.同時にNFD500mmF4.5Lも購入.もちろんNikonと比較したが,CanonにしたのはT-90の存在が大きかった.

工学デザイナー,ルイジ・コラーニによるデザインは今までのカメラとは明らかに異なる.曲面を多用し,操作系もボタン操作とし,何か未来的なものであった.上面の操作ダイヤルなど無くなりスッキリしたデザインだ.そのデザインはその後のEOSに引き継がれる.

モータードライブを内蔵しているが,全体的に非常にコンパクトに収まっている.しかし軽すぎず重すぎず,その上ホールディングしたときのバランスもよい.500mmレンズの手持ち撮影でも問題ない.

今では当たり前のシャッターボタン近くの電子ダイヤルは,このカメラが初体験であった.この操作系には興奮した.

New F-1 AEファインダーFN

発売
1981年
型式
SLR(MF,ファインダー交換式)
シャッター
1/2000〜8秒・B(機械式および電子式)
測光方式
中央重点平均測光,部分測光,スポット測光(フォーカシングスクリーン交換による)
露出モード
絞り優先AE,マニュアル,(シャッター優先AE;モードラ使用時)
バッテリー
2CR-1/3Nリチウム電池・1個または4LR44アルカリマンガン電池・1個
サイズ
147(W)×105(H)×48(D)mm・825g

T-90が電気系統の故障だったと記憶しているが,メーカーに修理に出すことになった.その間スナップやマクロ写真はOMシリーズを使っていたが,すでにTamronの望遠ズームは売却しており,鳥の撮影ができない.思い切って予備機としてもう1台カメラを購入することにした.T-90が電子部品の固まりのようなカメラだったので,反対に機械式シャッターのマニュアル基本のNew F-1とした.

外観は無骨でT-90とは対照的だ.シャープな直線を基調としたデザインで,上面にはシャッタースピードダイヤルと感度・露出補正ダイヤルが鎮座している.いかにもメカの塊といった感じで,これもありと思う.逆に今こんなデザインのカメラを作ったら結構売れるのではないだろうか.

(交換式のペンタ部分をずらした状態)当時のフラッグシップ機は他社もペンタ部分が交換式が多かった.New F-1の通常のアイレベルファインダーではマニュアルしか使えないが,このAEファインダーに交換すると絞り優先AEが使えるようになる.ちょっと格好悪いけど.

操作性はT-90とは全く別物だが,ダイヤル操作なので迷うことはない.

このカメラにはNewFDレンズ,特にLレンズの赤リングはいまいちに合わない.できれば旧FDレンズを付けたくなる.

しかしその後もT-90がメインでNew F-1はあまり使う機会がなかった.あくまでも予備機でモータードライブも購入しなかったので,鳥の撮影に持ち出すこともほとんどなかった.(その後T-90が故障することがなかった.)