バードウオッチングのサイトをみていると左のマークをみかけることがある.最初はカスミ網による密猟禁止のキャンペーンかと思い,あまり気にしていなかった.たまたまマークに関するサイトを覗いたら,鳥類標識調査の問題を提起していて驚いた.標識調査は鳥の渡りの状況を調査し最終的には鳥の保護に役立てるものと思っていた.のんきに鳥見をしている自分としては衝撃的であった.もちろんサイトの言い分すべてに賛同しているわけではないが,やはりこのままでいいとは思えない.

問題点の詳細については関連サイトを参照してください.ここでは個人的な意見ですが述べたいと思います.(まだまだ勉強不足で勘違いによる間違った記述があるかもしれません.事実と違った記述を見つけられた方は御連絡ください.)

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この手の問題には感情的な意見が付きものだ.鳥が可哀想といった意見だ.一方でこれは科学だと主張する人もいる.どちらも間違ってはいないだろう.基本的には鳥の保護をしていく上で生態とくに渡りなどの状況を把握する必要はあると思う.個々の鳥は可哀想ではあるが結局鳥の種としての保護に役立てばと思う.一部でわざわざ足輪など付けずとも観察等で渡りの状況は分かっており,今さら調査する必要はないとの考えもあるようだ.これはあまり科学的ではない.観察行為も重要であるが,それだけでは不十分なことも多い.A地点とB地点で鳥が観察されたから,その間で移動(渡り)をしているとはいえない.その鳥が同じ個体かどうかは不明である.結構科学的に解明された様に思われていたことでも先人たちの思いこみによる部分も多い.今まで当たり前の科学的事項と思われていたことが科学の進歩とともに覆されてきたのは周知のとおりだ.

一方調査の目的は何か.単に渡りのルート解明なのか.それだけのためにこれだけの多くの人手,金,時間をかける必要があったのだろうか.単に膨大なデータを集めることが目的になっていないだろうか.膨大なデータに酔い痴れている研究者の自己満足的な結果に終わっているのではないだろうか.最終目的を鳥の保護に役立てることとしても十分な成果が出たのだろうか.科学的調査にしては調査方法として計画自体がお粗末ではないだろうか.しっかりとした事前調査を行い,十分な調査方法の検討を行ったのだろうか.どうも何となく続けているようにしか思えない.これが科学といえようか.(調査開始当初は十分科学的と思えたかもしれないが,現在ではどうだろう)


問題を指摘しているサイトでは鳥の負担や犠牲を挙げている.採取は当然鳥にとっては負担となり,時に死亡することがある.しかしこういった研究調査には常に犠牲がつきものだ.避けられない部分がある.何羽が死んだとか数字を挙げても意味がない.誤解して欲しくないのは鳥が死ぬのは当然でしかたない,問題ないといっているのではない.調査目的を達成し保護に役立つことができるなら,それらの犠牲も無駄にはならないと思う.(希少種が過ってカスミ網にかかり死亡するなどの問題は残っているが…)

問題はそれが不慮の犠牲なのか,それとも防げることのできた犠牲なのかである.さらに不慮の犠牲であってもいかに犠牲を少なくする努力を行っているかである.サイトをみると調査はバンダーが個人の判断で行っているところが多く,あまり組織的に行っていないようだ.たとえば予想以上に鳥が網にかかり回収に手間取り多くの鳥が死んだケースでは不慮の事故というより,事前調査や予想の甘さなど人為的な事故の要素が大である.このような事例は環境省や山階研究所は把握していないのだろうか.バンダー個人にまかせっきりであまりにも無責任だ.監督機関としてしっかり指導すべきだ.このような人為的な事故を防止するためには,たとえば調査はバンダー1人では行わず,最低3人以上,さらに調査を監視する意味で第三者的な立場の人を同行させるといった対策が必要であろう.

足輪の重さについての記述もあった.これについてはどうしようもない.とにかく鳥に負担をかけないようにもっと軽量な素材に変えるなどの対策が必要だ.金属のようなものである必要はない.耐久性のある線維のようなものでいいと思う.なぜ新しい素材の使用を検討しないのだろうか.この点は上位の監督機関が積極的に動かなければいけないと思う.


多くのバンダーは自分が行っている調査が鳥の保護などに役立っていると思い真剣に取り組んでいると思う.残念なのは一部のバンダーの行為だ.

公開調査や学校等での講演については悪気はないのではと思う.多くの人に調査を理解してもらい,自然保護等に理解してもらおうとの趣旨であろう.しかし失礼かもしれないがバンダーの方々がどれほど自然保護等に関する知識を持ち理解されているか疑問だ.最近バードウオッチングをしていてもマナーのない人が多い.餌付けしたり,写真に邪魔な枝が写ってしまうといって木の枝を切ったり,作物が植わっている畑に平気で入ったり,自分さえいい写真が撮れればいいみたいな人が多い.鳥好きというより写真撮影が好きなだけ.鳥を待っている間もタバコを吸い,吸い殻は投げ捨て.鳥好きを自負していても結構問題行動をしている人が多い.(ちょっと脱線してしまった.)

またバンダー育成の研修とはいったいどんなものなのか.単にカスミ網のかけ方,鳥の扱い方,足輪の付け方の講義なのだろうか.鳥の保護活動について,さらには自然保護についての講義は十分行っているのだろうか.単に鳥好きというだけで推薦される人もいるだろう.本当に自然を愛する心の持ち主だろうか.問題バンダーがいることから残念ながらみんなが自然を愛する精神をもっているとは思えない.自然愛護の精神についての講義も絶対必要だ.鳥が好きだけで自然保護を啓蒙するのは問題だと思う.さらに多くの人を対象に講演するのには細心の注意が必要であろう.ちょっとした行為や言い回しが誤解を招くことがある.バンダー個人で講演等行うのは止めた方がいいだろう.

自分の個人サイトで写真等を公開しているバンダーにはあきれる.目的が分からない.バンダーという特権を自慢したいだけなのだろう.本来の調査内容から逸脱している.山階研究所もバンダーの禁止行為にあげ,しっかり取り締まるべきだ.


今まで述べてきたことは調査が有用であり,最終的には鳥の保護などに役立っているという前提での話だ.実際はデータを白地図に移動線として引いて終わりではないだろうか.この結果がどの程度保護活動に役立ったのであろうか.単に鳥をいじめ,一部のバンダーや研究者の自己満足に終わっていないだろうか.例えバンダーや研究者が真剣に調査に取り組んでいたとしても,これだけ金,時間,労力をかけて,それに見合った効果が得られなければ調査自体を見直す必要があろう.当事者たちからそういった声が挙がってこないのは残念だ.

現在地球温暖化といった大きな環境変化の中,渡りルートの変化や繁殖地,越冬地などの分布移動など考えられる.その点では何らかの調査が必要であろう.しかし標識調査では十分な成果もなく,金(税金)の無駄である.現状では調査の必要性は十分理解できるが,もっと実益のある行動に金や労力を傾けるべきであろう.現在の生息地の環境整備に重点を置く方が保護に直結するだろう.今後渡りのルートや生息地の分布は変化するかもしれないが,そのときはそれに合わせて新たな生息地の環境整備を行えばいい.前の生息地の環境整備が無駄になるかもしれないが,現在の無駄な調査よりましであろう.

-JUN.2008