ここ数年外来種問題が注目されている.都心では熱帯原産のインコが飛んでいたりするが,先日横浜の里山でガビチョウをみたし,去年は宮古島でクジャクをみた.結構自然の残っている場所でも外来種が侵食してきている.本来の生態系が狂ってしまうことは何か悲しい.
 
子供の頃,タンポポの話を聞いたことがある.在来種のタンポポ(カントウタンポポ)とセイヨウタンポポの話だ.セイヨウタンポポはヨーロッパ原産で繁殖力も強く,都市化の進んだ環境にも適応する.都市部では,在来種はセイヨウタンポポとの生存競争に敗れ勢力は減少している.在来種とセイヨウタンポポの比率をみると自然破壊のバロメーターとなる.子供の頃は比較的田畑の残っている田舎に住んでいたので結構在来種が多かった.現在東京に住むようになって,あまり注意してタンポポをみていないが,たぶんほとんどセイヨウタンポポであろう.
 
さらに川や沼で赤いザリガニを捕って遊んだ.すべてアメリカザリガニでこれも外来種だ.しかし子供の頃はセイヨウタンポポやアメリカザリガニは当たり前のように存在し,すでに“自然”の中にとけ込んでいた.鳥のコジュケイも本来外来種であるが,今では日本の野鳥図鑑に載っている.近い将来ホンセイインコもガビチョウやクジャクも日本の野鳥として図鑑に載ることになるのだろうか.
 
最近では魚類のブラックバスやブルーギルが問題となっている.つい先日ネットでニュースをみていたら多摩川でガーやアロワナ,ピラニアなどが釣れることがあるそうだ.ガビチョウなど鳥の場合は(不注意により)籠から逃げてしまったケースがほとんどであろうが,魚の場合は大きくなりすぎて家で飼えなくなり放流したり,釣りを楽しむため自ら大型の魚を放流する確信犯がいるらしい.子供が真似をして日本の山にヘラクレスオオカブトがいっぱいいるといいなと外国産のカブトムシやクワガタムシを放虫しないか心配だ.大袈裟かもしれないが日本ではペットショップで簡単に外国の生き物を購入することができる.親に頼めば簡単に買ってくれるだろう.
 
生態系破壊の危険性が叫ばれるなか,外来種を扱うペットショップ,購入者に対する規制のようなものはほとんどない.さらに輸入禁止の生物の密輸も横行しているらしい.上記のような外来生物の移入は,ほとんどがペットショップ経由であろう.ペットを飼うことを否定はしないが,もっとモラル,責任を持って欲しい.それが望めないならペットを飼うべきではない.人の心は移ろいやすいもの.当初はちゃんと飼うつもりでも,次第に面倒になったり,大きくなって手に負えなくなったりし,捨ててしまうこともあるだろう.そう考えるとどうしても何らかの規制が必要だ.
 
どんなに小さな外国産の生物でも登録制にすべきだ.ペットショップは輸入した時点で1匹,1匹登録し,客に売却した時点でも飼い主変更の手続きをする.ペットが死んだ際は獣医師に確認してもらい死亡診断書?を作成し提出するか,死体を直接行政機関(保健所がいいだろう)に持っていき確認してもらう.その後は飼い主が墓に埋めるなどする.例え小魚1匹でもである.また大きくなって手に負えなくなったときの収容施設も必要かもしれない.もちろん引き取る場合も有料にすべきだ.(えさ代もかかるし)さらに違反時には罰則規定も必要だ.ちょっと過激かもしれないがこの位しないと外来種問題は解決しないだろう.要はそのくらいの覚悟を持ってペットを飼いなさいということだ.
 
テレビでアメリカのペット事情を放映しているのをみる.とくに動物虐待には厳しく対処している.虐待といっても単にいじめのみでなく,ちゃんと飼育していない場合も虐待として対処するようだ.(もっともアメリカの場合州によって対応が違うだろう.)ちょっとやりすぎのように感じることもあるが,日本の場合は無法状態であり,もう少し厳しくすべきと思う.
 
外来種問題はそれだけではない.西日本を中心に問題になっているアルゼンチンアリのような輸入物資に隠れ日本に入ってくるものもある.生態系の破壊のみならず,農作物への被害,住民生活への被害も広がっているようだ.さらに数年前大阪の港で騒ぎになったセアカゴケグモという毒蜘蛛もいた.このような移入は経済活動の一環として輸出入をしている以上,避けられない.今後温暖化で熱帯の生物が日本で生息できるようになると,この問題はさらに拡大し深刻化するだろう.
またすでに広まってしまった外来種の対策も重要だ.駆除ということになってしまうのだろう.本来外来の生物には何の問題もなく人間の都合で処分されるのはかわいそうだが,他に対策がなければしかたないかと思う.最低でも処分後の有効利用,たとえば食用などのようなことを考えてして欲しい.そうでもしなければ成仏できないだろう.
 

-MAY.2008