小笠原は東京都心から南約1000kmにある島嶼群.別名ボニンアイランド.無人島(ぶにんじま)が由来らしい.一度も大陸と陸続きになったことがない海洋島で生物では固有種が多い.東洋のガラパゴスともいわれる.

行政区では東京都に含まれる.人が住んでいるのは父島,母島のみ.(硫黄島,南鳥島には自衛隊が常駐しているが民間人の上陸は禁止)さらに日本の最南端の沖ノ鳥島,最東端の南鳥島も含まれる.

そのなかで父島は小笠原諸島最大の島.といっても面積約24km²の小さな島だ.人口は約2000人程度.行政的にも中心的な島である.気候的は亜熱帯.周囲には兄島,弟島などがあり父島列島を形成している.

竹芝から定期船おがさわら丸通称おが丸は約25時間の船旅を経て父島二見港に到着する.港横に大きなガジュマルの木がある.いかにも南国の島といった感じで来島者を出迎えてくれる.約20年前初めて小笠原を訪れたとき,おが丸から降り宿に向かうとき,このガジュマルの下のベンチに二人の老人が並んで座って港の方を眺めていた.なんてことはない光景であるが,いかにも「小笠原」らしい光景と感じた.個人的には強烈な印象で今でも忘れられない.
二見港のガジュマル聖ジョージ教会


二見港のある大村地区には民宿やペンションが並ぶ.みやげ物屋も数店ある.大村には前浜(大村海岸)があり何もせず海岸でのんびりするのも好きだ.夏にはこの海岸にウミガメが産卵のため上陸する.町中の海岸でウミガメの産卵が見られるなんて夢のようだ.(残念ながら数回チャレンジしたが,まだ見たことはない.)町の奥に聖ジョージ教会がある.白壁の小さな教会だ.外国にきた錯覚におちいる.

島の西側に海沿いの道,中央に山中の道が走っている.
海岸沿いの道を南下すると沈没船のある境浦が見えてくる.20年前は沈没船も船の形を保っていたが,徐々に崩壊が進み,今では船なのか分からないほどになっている.
境浦小港海岸(手前)とコペペ海岸(奥)


さらに南下すると島唯一のホテルのある扇浦に到着する.ここからコペペ海岸と小港海岸へと道は分かれるが,コペペ海岸と小港海岸は遊歩道でつながっている.小港からはさらに徒歩で約2時間でジョンビーチにいける.この3つの海岸は父島を代表する海岸といえよう.とはいえ3つとも小さな海岸だ.

ジョンビーチに行く途中ブタ海岸がある.ここにブランコがある.木の枝が折れそうで心配なので乗ったことはない.でもなんか好きだな.

ジョンビーチは白い綺麗な砂浜だが,水際には砂が固まったビーチロックが広がる.沖縄の白砂が遠浅に広がるビーチを想像していくと,ちょっと期待外れになるかも.
ジョンビーチ


さらにこの先の崖の向こうにジニービーチがあるが,現在は植生保護のため歩いてはいけないそうだ.(以前は崖を超えて行くことができた.現在は船かカヤックで海から上陸する.)次回はぜひ行ってみたい.

旭山山頂から,おが丸出港.山側の道は夜明け道路と呼ばれる.道中,数カ所の展望ポイントがある.長崎展望台は北向きに開かれて兄島が見える.夜は街の光が遮られていて星が綺麗とのこと.(以前行ったときは雲が広がり星は見えなかった.)夜明け道路から遊歩道を進み旭山山頂へ.ここからは二見港全体を望むことができる.中央山の展望台は360°の視界が広がる.

1〜5月はホエールウオッチングのシーズンだ.ザトウクジラが見られる.三日月山展望台(ウェザーステーション)からも遠く海上のクジラを観察できる.7月を中心にマッコウクジラのツアーもある.


落花したムニンヒメツバキ植物も固有種が多いようだが詳しくないので紹介できない.一度ガイド付きで山歩きツアーに参加したいと思っているが実現していない.

もう一つ,ナイトツアー.目玉はオガサワラオオコウモリとグリーンぺぺ(ヤコウタケ)それに満天の星空.2011年4月に訪れたとき初めてオガサワラオオコウモリに会えた.結構大きくバサバサと飛んでいるところは結構迫力がある.グリーンぺぺは来島時雨が少なく残念ながら生えていなかった.グリーンぺぺを見たのは初めての来島の20年前.その後は空振りが続く.


そろそろお腹がすいた.小笠原名物は島寿司.サワラの漬けの寿司でワサビの代わりにカラシ.元々は八丈島のものらしい.一応名物とあるので食べるが,いわゆる漬けの握り.特別な料理ではない.もう一つの名物はウミガメ料理.まずは刺身.ショウガ醤油でいただく.赤身でくせもなく美味しい.むしろ癖があるかと思っていたので調子外れ.次に煮込み.こちらは内臓も入っているようで,明らかに臭う.でも思っていたほどではない.沖縄のヤギ汁を比べれば気にならず,美味しくいただけた.しかし母島ペンションのラ・メーフで食べたカメの煮込みは絶品.全く臭みがない.下処理をちゃんとすればこんなに美味しいものだと再認識した.
亀刺し亀の煮込み

食べ物つながりで小笠原コーヒー.父島,母島ともコーヒー栽培をしている.宿で飲んだのは母島産のコーヒー豆.香りが高いが渋みは強くなく飲みやすかった.お土産で購入したが50gで1000円.もったいなくてまだ飲んでない.(なぜか釣具屋さんで売っている.)
庭先にバナナも実っている
最終日土産物屋で買い物をしたとき,店主のオヤジさんが「小笠原も世代交代だよ.返還まもない頃入ってきた若人はもう年寄り.飛行機は飛ばないし病院はない.病気になったとき怖いね.年寄りは内地に帰り,変わって若い人が入ってくるよ.」この店主も内地に帰ることを考えているのだろうか.ちょっと寂しそうだった.年を取ると健康面の不安は大きくなろう.船で25時間,週1便では不安だ.飛行機が飛んでいないのは生活する人にとって大きな問題だろう.


しかしこの「世代交代」はある意味理想的ではないだろうか.今地方,特に離島では高齢化,過疎化が問題になっている.若い頃は自然の中で生活し,年を取ったら便利な都会で暮らす.そしてまた新しい若人がやってくる.これがうまく循環し続ければ過疎化問題など起こらない.実際島には子供が多い.自分ももう少し若く勇気があったらこんな島に住んでみたかった.

いよいよ帰路につく.おがさわら丸が出港となると,やはり島民がみんなで送り出してくれる.ちょっと寂しくジーンとしてしまう.港を離れてもクルーザーで伴走し見送りは続く.最後はクルーザーから飛び込んでお別れ.


小笠原太鼓で見送りおがさわら丸出港


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